ゲッチンゲン

 

そりゃ、セーヌみたいでもないし、ヴァンセーヌの森のようでもない、

しかし、ゲッチンゲンは美しい街よ。

波止場もなく、聞きなれた歌もない、哀愁もなく、戸惑いもない、

しかし、ゲッチンゲンにも愛の花は咲くのよ。

 

ヘルマン、ピータ、エルガにハンス、彼らは私よりも

フランスの歴史に詳しいはずよ。

誰も怒らないで、子供の頃聞いた、

「昔々あるところに…|というおとぎばなしはゲッチンゲンから始まったのよ。

 

我々にはセーヌがあって、ヴァンセーヌの森もある、

だけど、ゲッチンゲンのバラはなぜこんなに美しいの。

我々にはけだるい朝、ヴェルレーヌの灰色の朝がある、

だけど、ゲッチンゲンはメランコリそのものなのよ。

 

言葉を言い尽くした後、何も言わずに彼らは我々に微笑んでいる、

だけど、我々は彼ら、ブロンドの子供たちがよくわかるのよ。

こう言う我々を見て、驚く人たちもいるかもしれない、

また、許しを請わなければならない人たちもいるでしょう、

だけど、パリもゲッチンゲンも子供たちはみな同じなのよ。

 

ねえ、お願い、2度と血と憎しみの時代が来ないようにしてほしい、

なぜって、ゲッチンゲンには私が愛する人たちがいるの。

警鐘がなり響き、また、武器を持たなければならなくなったとしたら、

私の心は、ゲッチンゲンを思って泣きぬれてしまうでしょう。